会長挨拶

株式会社九州タブチ

代表取締役社長 鶴ヶ野 未央

 

 鹿児島高専テクノクラブ(KTC)は、平成10年3月、南九州地域の有志企業が中心となって、地域との連携強化を掲げている鹿児島工業高等専門学校と相図って設立された産学官交流組織です。今年で28年目を迎え、一般会員企業114社、その他19の公的機関が特別会員として加入しており、産学官連携の推進や会員企業の技術の向上、会員相互の交流および鹿児島高専への支援活動等を積極的に行って参りました。
主な活動としては、年3回の技術研修会、高専生のための地域企業研究会、教職員及び学生のKTC企業見学、KTCインターン(有償)の受け入れやKTC企業による高専の特別講義の実施等があります。これら様々な活動を通じて教職員及び高専生がKTC会員企業を知る機会が増え、KTC会員企業への就職者は増加傾向にあり、共同研究・技術相談の内容も充実してきている状況にあります。

 近年、私たちを取り巻く社会は、VUCAすなわち変動性・不確実性・複雑性・曖昧性に満ちた時代に突入しています。技術革新のスピードは加速し、社会課題はより複雑化し、未来の予測が困難な状況が続いています。

 こうした時代においてこそ、官の連携が果たす役割はますます重要です。高専が持つ知の蓄積、企業が持つ実装力、行政が持つ社会的ネットワーク、これらを有機的に結びつけることで、社会課題の解決と持続可能な成長を実現していくことが求められています。特にDXの推進は、私たちの連携の在り方そのものを変革しつつあります。デジタル技術を活用した新たな価値創造、業務プロセスの革新、そして社会実装のスピードアップは、産学官の協働によってこそ実現可能と言えます。また、AIの進展は、研究開発や人材育成のあり方にも大きな影響を与えています。私たちはAIを単なるツールとしてではなく、共創のパートナーとして捉え、教育・研究・産業の現場における活用を積極的に進めて行く必要があります。

 このような先行き不透明な時代だからこそこれまで築いてきた産学官連携をより強化し、課題克服に向けた新たな技術や価値を創造し未来への展望を開くための活動に取り組んで参りたいと考えております。

 今後も会員の皆様からのご意見を参考に一層「KTCの価値ある事業活動の展開」を通じて地域産業の活性化と持続的な発展に寄与し、皆様のご期待にお応えできるように取り組んで参ります。これまでの皆様の一方ならぬご高配に感謝申し上げるとともに、引き続きご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。